織田信長(木村拓哉)と濃姫(綾瀬はるか)という戦国時代最高のレジェンド夫婦の30年を描いた東映70周年記念作品『レジェンド&バタフライ』。
総製作費20億円という壮大なスケールで制作された本作は、公開前から大きな注目を集めました。 しかし、いざ蓋を開けてみると、SNSやレビューサイトでは「ひどい」「大コケ」といったネガティブな評判が散見され、観客の評価が真っ二つに割れるという異例の事態に。
豪華キャスト・スタッフが集結した超大作にもかかわらず、なぜこのような論争が巻き起こったのでしょうか?
この記事では、レジェンド&バタフライを巡る「大コケ」や「ひどい」といった噂の真偽を、興行収入や観客レビュー、そして歴史的な視点から徹底的に検証します。
特に、木村拓哉さんと綾瀬はるかさんが演じた織田信長と濃姫の「新しい夫婦像」が、どのように観客に受け止められたのか、その深層に迫ります。 鑑賞を迷っている方、すでに観て論争の理由を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
- 映画『レジェンド&バタフライ』が「大コケ」や「ひどい」と言われた理由と、興行収入の実際の評価
- 歴史的事実と大胆なフィクションを織り交ぜた脚本(古沢良太)の意図と、賛否両論のポイント
- 主演の木村拓哉さん(織田信長役)と綾瀬はるかさん(濃姫役)の演技が、作品の評価にどう影響したか
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映画『レジェンド&バタフライ』作品概要
レジェンド&バタフライは、誰もが知る織田信長と、謎に包まれた正室・濃姫(別名帰蝶)の夫婦の30年の軌跡と「本能寺の変」の謎を、全く新しい視点で描いた感動超大作です。
総製作費20億円を投じ、東映70周年記念作品として制作されました。監督には『るろうに剣心』シリーズで知られる大友啓史、脚本には『コンフィデンスマンJP』シリーズの古沢良太という、日本映画界のトップランナーがタッグを組んでいます。
基本情報
- タイトル: THE LEGEND & BUTTERFLY(レジェンド&バタフライ)
- 公 開: 2023年1月27日
- 上映時間: 168分(2時間48分)
- 製 作: 2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会
- 配 給: 東映
- 監 督: 大友啓史
- 脚 本: 古沢良太(完全オリジナル脚本)
- 音 楽: 佐藤直紀
- 配 信:Amazonプライム見放題独占配信
主な登場人物
本作には、木村拓哉さん、綾瀬はるかさんを筆頭に、日本映画界を代表する豪華キャストが結集しました。
- 織田信長:
- 演 – 木村拓哉
- 尾張の「大うつけ」と呼ばれた格好ばかりの武将。
- 濃姫の言葉で奮い立ち、天下統一を目指す中で非情な「魔王」へと変貌していきます。
- 濃姫(帰蝶):
- 演 – 綾瀬はるか
- 「マムシの娘」と呼ばれた男勝りの美濃の姫。
- 当初は信長暗殺を目論むも、彼を鼓舞し、やがて天下統一を共に目指す「蝶」のような女性です。
- 明智光秀:
- 演 – 宮沢氷魚
- 織田五大将の一人。
- 後に本能寺の変で謀反を起こす参謀です。
- 福富平太郎貞家:
- 演 – 伊藤英明
- 濃姫の侍従。
- 濃姫が信長に嫁いだ際、お供として織田家に仕えます。
- 各務野(かがみの):
- 演 – 中谷美紀
- 濃姫の筆頭侍女。
- 濃が幼い頃から見守り支える存在です。
- 羽柴秀吉(木下藤吉郎)
- 演 – 音尾琢真
- 農民出身ながら織田信長の下で功績をあげた武将(織田五大将の一人)。
- 徳川家康
- 演 – 斎藤工
- 織田信長から安土城に招かれ饗応を受けます。
- 後に江戸幕府を開く人物です。
- 斎藤道三
- 演 – 北大路欣也
- 濃姫の父親。
- 下剋上の体現者で「美濃のマムシ」と呼ばれました。
あらすじ:
レジェンド&バタフライが描くのは、政略結婚から始まる織田信長と濃姫の激動の30年です。
- 起:
- 尾張の織田信長(木村拓哉)は「大うつけ」と呼ばれ、格好ばかり。
- そのもとに嫁いできたのは、敵対する美濃の「マムシの娘」濃姫(綾瀬はるか)でした。
- 最悪の出会いを果たした二人は、尊大な信長と臆さぬ濃姫で性格も真逆。
- お互いを出し抜いて寝首をかこうと一触即発の状態から結婚生活がスタートします。
- 承:
- ある時、強敵・今川義元の大軍が攻め込んできます。
- 圧倒的な戦力差に絶望しかけた織田信長(木村拓哉)を奮い立たせたのは、他でもない濃姫(綾瀬はるか)の言葉でした。
- 二人は激論の末に戦術を練り、桶狭間の激戦を奇跡的に勝ち抜きます。
- この勝利をきっかけに、真っ向から対立していた二人の間に次第に強い絆が芽生え、やがて誰も成し遂げたことのない天下統一へと向かっていきます。
- 転:
- 濃姫の夢である天下統一を目指し、戦いに次ぐ戦いの中で、織田信長(木村拓哉)は非情な「魔王」へと変貌してゆきます。
- 濃姫(綾瀬はるか)は心を砕いて引き止めようとしますが、織田信長は濃姫に口出しを許さず、自分は人ではなく魔王だと宣言するのです。
- そして、二人の運命は容赦なく本能寺へと向かっていくのでした。
レジェンド&バタフライが招いた「大コケ」論争
失敗の多角的な要因とは
総製作費20億円をかけた東映70周年記念作品『レジェンド&バタフライ』は、豪華キャストと壮大なスケールで公開前から大きな話題となりました。
しかし、公開後には「大コケ」や「ひどい」といった否定的な評判が一部で広がり、論争を巻き起こすこととなりました。
この論争の背景には、興行収入の評価、史実からの逸脱、そして織田信長と濃姫という題材への「新たな解釈」に対する観客の期待値とのギャップがあったと考えられます。
製作費20億円大作で興行収入24億円は失敗だったのか?
「大コケ」という評価が生まれた大きな要因の一つが、公開直後の興行成績に対する一部の報道や世間の見方です。
『レジェンド&バタフライ』は公開初週3日間で動員37万1000人、興収4.9億円をあげ、週末興行ランキングで初登場1位を記録しました。これは『THE FIRST SLAMDUNK』や『すずめの戸締まり』が独占していた上位ランキングに風穴を開けた形となり、「半年ぶりの実写映画1位」という快挙でした。
しかし、総製作費20億円というビッグバジェットに対して、最終的な興行収入は24.7億円でした。
これは公開から約25日間で興収20億円、動員150万人を突破するなど健闘したものの、総製作費20億円という数字を鑑みると、大作として期待された数字としては物足りない、大成功と断言しにくいラインだと見なされることもあります。
特に、強力なアセット(木村拓哉さんや織田信長という題材)を最大限に活用し、テレビでの番宣露出を大量に行ったにもかかわらず、その後の興行の伸びが期待値を下回ったことが、「大コケ」という印象を一部に与えた可能性があります。
一方で、公開25日目時点で興行収入20億円突破は、多くのリピート客に支えられた結果でもあります。
SNSでは「ひどいという噂を信じて見なかったが、感動した」といったレビューも出ており、観客が「大コケ論争」に巻き込まれながらも、作品の評価は真っ二つに割れていたのが実情です。
史実からかけ離れた演出が歴史ファンを失望させた?
本作が「ひどい」と評される大きな原因の一つは、歴史的事実への大胆な解釈、特に史実とフィクションの「歪み」に対する歴史ファンの厳しい意見でした。
『レジェンド&バタフライ』の脚本は古沢良太氏による完全オリジナルですが、史実のターニングポイントを扱いながらも、その裏側で濃姫が大きな役割を果たしていたとする描写が多用されています。
例えば、桶狭間の戦いの戦略を濃姫が授けたとする解釈は、歴史ファンにとっては「新解釈」として面白く受け止められる一方で、「史実からかけ離れている」という批判の的にもなりました。
また、比叡山焼き討ちの場面も論争の対象となりました。
史実では、織田信長軍は延暦寺の伽藍を焼き払い、僧侶や住民数千人を殺害したとされますが、これは当時の比叡山が浅井・朝倉連合軍を援護し、信長と敵対したことに対する徹底的な破壊を目的としたものでした。
本作では、この比叡山焼き討ちの非道さが「近年の時代考証から外れている」として不満を述べる観客もいました。 さらに、日本史最大の謎である本能寺の変の直前の描写や、その結末も大きな議論を呼びました。
織田信長と濃姫の「新たな解釈」は成功したのか失敗したのか
本作は、従来の時代劇が男性目線で描いてきた織田信長を、正室である濃姫という女性の目線から描くことに焦点を当てました。
この「新たな解釈」は、まさに作品の根幹です。 大友啓史監督は、この映画のテーマを織田信長の「弱さ」だと語っています。
これまでの信長像(「男が憧れる武将」や「カリスマ」)とは異なり、本作の信長は未熟な「尾張のうつけ者」として登場し、窮地に陥った際には濃姫にだけ弱音を吐く繊細で小心な面が描かれます。
また、物語の推進力も、通常のように「男の夢を女が支える」のではなく、「女(濃姫)の夢(天下布武)を男(信長)が実現する」という逆の構図が採用されています。
この構造により、濃姫は単なる正室ではなく、信長を鼓舞し、天下統一という目標へと駆り立てる原動力となる「蝶のように自由を求めた」対等なパートナーとして描かれました。
この新解釈は、織田信長と濃姫の激動の30年を時代劇の体裁をとった「壮大で崇高なラブストーリー」として捉える観客からは絶賛されました。
しかし、一方で、従来の時代劇ファンや歴史ファンからは、織田信長の「魔王」への変貌ぶりや濃姫との関係性の変化に「振れ幅を感じない」、「ロマンス色が強すぎる」、として「ひどい」という意見も聞かれました。
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歴史大作としての評価は?史実とフィクションの「歪み」を徹底検証
史実からかけ離れた演出が歴史ファンを失望させた?
史実と創作の「歪み」は、本作の評価において決定的な分断を生み出しました。歴史ファンが特に問題視したのは、歴史的な大事件における濃姫の関与度です。
例えば、桶狭間の戦いの奇跡的勝利の戦略を濃姫が授けるシーンは、古沢良太氏の脚本の「さじ加減が抜群に素晴らしかった」と評される一方で、歴史的なリアリティを重んじる層からは「史実の知識がないと分かりにくいかも」、「歴史的な事柄を何個か取り上げて、『ここはこうしたから2人は乗り越えられました!』と観客は置いてきぼりにされた感覚」といった不満が聞かれました。
また、比叡山焼き討ちの描写は、史実では仏教勢力への合理的な対抗策として肯定的に評価する見解も存在する中で、本作では信長が「冷酷な統治者に変貌し、女や子供まで皆殺しにする命令を下す」という、濃姫の価値観を揺るがす残酷なエピソードとして描かれました。
歴史愛好家からは「比叡山の焼き討ちは近年の時代考証から外れている」という批判もありました。
織田信長と濃姫の「新たな解釈」は成功したのか失敗したのか
この「新たな解釈」は、歴史上の英雄織田信長の生涯を、一人の人間が成長し、葛藤し、愛を成熟させていく物語として描き切ることに成功しました。
成功した点:
- 織田信長の「弱さ」の描写: 大友啓史監督がテーマとした織田信長の「弱さ」は、天下を背負う重圧の中で「魔王」へと変貌していく彼の孤独と哀しさを際立たせました。木村拓哉さんは、この「病み期のやつれ具合が圧巻」と評価されており、単なるカリスマではない人間的な深みを表現しました。
- 濃姫の主体性: 濃姫が信長を鼓舞し天下統一という「夢」を与え、対等な立場で渡り合う姿は、従来の時代劇における女性像を刷新した点として支持されました。
失敗した点(観客の不満点):
- 俳優陣の「老けメイク」の欠如: 織田信長と濃姫の30年の軌跡を描くにもかかわらず、特に綾瀬はるかさん演じる濃姫に「歳をとらない違和感」があったという指摘が多く、この点が「ひどい」という評価に繋がりました。脇を固める中谷美紀さんや伊藤英明さんが順調に歳をとっていくのとは対照的でした。
- 木村拓哉さんの「ワンパターン」論: 織田信長の「うつけ」から「魔王」、そして「ただの男」への振れ幅が感じられず、「いつものキムタク」に見えたという意見が根強く、新解釈が活かされなかったと指摘されました。
映画独自の視点がもたらした「深み」と「違和感」
本作は、合戦のスペクタクルではなく、戦の前後における織田信長と濃姫の関係性の変化に焦点を絞るという、独自の演出視点を持っています。
「深み」をもたらした点
大友啓史監督は、戦そのものを描くよりも、長篠の戦い後の「死屍累々たる有様」を描くことに労力と資本を投じ、その「死体を吸う蝶」といったアイデアを盛り込むことで、信長の虚無感や無常観を表現しました。
これにより、観客は戦の残酷さを間接的に感じるとともに、織田信長が背負う業の深さを理解することができました。
そして、本能寺の変の結末は、史実とは異なる「二人が最後に見た夢」として、船で異国へ旅立つという幻想的な描写が挿入されました。
監督はこの結末を「超ハッピーエンディング」だと解釈しており、一心同体だった夫婦の「滅せぬもの」(濃姫への思い)を描き切ったことに、深い感動を覚える観客も多くいました。
「違和感」を生んだ点
しかし、この独特の演出は、一部の観客に「大コケ」という印象を与えました。
特に、3時間弱という長尺にもかかわらず、「壮大な戦闘シーンがあるわけでもなく、単調極まりない」、「歴史的事実を拾っていくだけで特筆すべきものがなかった」という指摘は、スペクタクルな歴史大作を期待していた層とのギャップを明確に示しています。
映画の核をなすラブストーリーと、歴史的なイベントの駆け足な描写のバランスに不満が残った観客もいました。
映画はひどいのか?興行収入とSNSの評価の決定的なギャップ
なぜ観客の評価は割れたのか?「絶賛派」と「酷評派」の主張
『レジェンド&バタフライ』に対する観客の評価は、「ひどい」という酷評と「感動した」という絶賛が混在し、決定的なギャップを生み出しました。
絶賛派の主張
絶賛派は、本作を「本格時代劇大作の体裁をとった壮大で崇高なラブストーリー」として受け止めました。
木村拓哉さん、綾瀬はるかさんの演技を「素晴らしかった」と高く評価し、特に大友啓史監督の演出手腕が、有名な歴史上の人物を青春ドラマとして魅せた点に拍手が送られました。
結末の本能寺の変を巡る幻想的なラストシーンも、「ありえないと分かっている二人が夢見た未来に、やたら泣けて仕方ありませんでした」、「日本映画史に残るラストだった」と称賛されました。
酷評派の主張
酷評派は、主に「大コケ」論争の要因となったポイントを不満点として挙げました。
具体的には、総製作費20億円に見合わない「こじんまりとした印象」や、織田信長の「格好良さは皆無」で「いつものキムタク」に終始したという点です。
また、「薄い脚本に製作費をかけすぎた映画」、「時代劇でなくても良い内容」という意見もあり、歴史的な深さやスペクタクル要素の不足を指摘しました。
特に、長尺にもかかわらず内容が薄いという感覚が「全く登場人物に感情移入できなかった」という批判に繋がっています。
SNSで拡散された具体的な不満点:脚本・演出が問題視された?
SNSで特に拡散された具体的な不満点には、脚本と演出に関するものが多く見られました。
- 信長のキャラクター描写:
- 従来の英雄像や非情な「魔王」としての振れ幅が不足しており、特に「闇落ちの闇の深さを感じない」という意見が木村拓哉さんへの演技評価と結びついて指摘されました。
- 老けメイクの欠如:
- 濃姫(綾瀬はるか)と織田信長が30年を共に過ごすにもかかわらず、「歳をとらないのが違和感」として演出のリアリティが損なわれたという指摘がありました。
- ラストシーンの解釈:
- 本能寺の変の直後、炎上する本能寺から抜け穴を見つけ脱出し、濃姫を連れて南蛮船で日本を脱出するという幻想は、直後に「信長の幻想だった」と明かされます。この「夢落ち」のような展開は、一部の観客から「タイタニック?」、「めちゃくちゃ笑った」と揶揄され、賛否が分かれました。
他の歴史大作と比較した興行の推移と最終的な順位
『レジェンド&バタフライ』は公開初週に動員ランキング1位を記録しました。
この映画は、公開初週週末で動員ランキング1位を獲得し、特に木村拓哉さんのような「超有名キャスト」というアセットとTVを中心とした露出戦略が功を奏したことが指摘されています。
しかし、公開からわずか1週で首位を陥落したという報道もあり、その後の興行の推移は失速したと見なされました。
総製作費20億円に対して興行収入24.7億円という成績は、この豪華な東映70周年記念作品という「アセット」を最大限に活かせたか、という点で、期待値とのギャップが生じたといえるでしょう。
木村拓哉・綾瀬はるかの魅力が活きたシーン、活かせなかったシーン
木村拓哉(信長役)の演技評価:従来のイメージとの対比
木村拓哉さんが演じた織田信長は、大友啓史監督が描こうとした「弱さ」や「人間的な葛藤」という新機軸を体現しようとしました。
木村さんは16歳から49歳までという信長の激動の生涯を演じきり、「圧倒的に集中力が高くて、とにかく献身的な人」であり、「役に対して本能的に向き合っている」という高い評価を監督から受けています。
特に、戦の重圧に苦しみ「病み期のやつれ具合が圧巻」だったという描写は、従来の「男が憧れる武将」や「ヒーロー」としての木村拓哉像とは一線を画すものでした。
木村拓哉さんの魅力が活きたシーン:
- 濃姫にだけ弱音を吐き、自暴自棄になる姿。
- 天下統一の過程で非情な「魔王」へと変貌していく孤独な姿。
- ラストの本能寺の変で、炎の中で敦盛を舞い、「ずっと好いていた」と濃姫への愛を呟くシーン。
従来のイメージとの対比で活かせなかったシーン:
しかし、観客の一部からは「キムタクのまんま」、「演技がワンパターン」、「うつけから魔王、そしてただの男、という振れ幅を感じない」といった厳しい評価も上がりました。
これは、木村拓哉さんの持つ「レジェンド」としての強い存在感が、役柄の「未熟者」や「弱さ」という要素を覆いきれなかったためと考えられます。
綾瀬はるか(濃姫役)の演技評価:役柄の深さと魅力
綾瀬はるかさんが演じた濃姫(帰蝶)は、観客からの評価が非常に高く、作品の成功を支えた核として機能しました。
綾瀬はるかさんは、敵対する織田信長の暗殺を目論む「男勝りの美濃の姫」として登場し、初夜で信長をねじ伏せるなど、気の強さと武芸の腕前を披露しました。
この濃姫像は、大友啓史監督が「女性が人生を作っていく」というテーマを体現する上で不可欠でした。
綾瀬はるかさんの魅力が活きたシーン:
- 初夜に織田信長をねじ伏せる見事なアクション。
- 桶狭間の戦いの策を信長に授ける、頭脳明晰なブレーンとしての姿。
- 京の貧民窟で襲われた際、護身のためとはいえ人を殺してしまい、生身の人間を殺めたことに衝撃を受けるシーン。これにより、男勝りな女性から「女性らしさに傾いていく」転換点が鮮やかに描かれました。
- 病に伏しながらも「助けを求めているのは信長様のほうです」と、信長の弱さを理解して鼓舞するシーン。 多くのレビューで、「綾瀬はるかは圧巻」、「異彩を放つ」、「演技も切れる」と絶賛されており、彼女の演技が「この映画を引き締めていた」と評されています。2023年度の第48回報知映画賞では、本作と『リボルバー・リリー』で主演女優賞を受賞しました。
2人の化学反応は映画の欠点をカバーできたのか?
木村拓哉さんと綾瀬はるかさんは、政略結婚から始まり、対立し、互いの弱さを支え合い、そして強い絆で結ばれていく織田信長と濃姫の30年の軌跡を描きました。
二人の演技は「素晴らしかった」、「見応えがある映画にはなっていた」と評価されており、主演二人のカリスマ性が作品の核として機能し、総製作費20億円のスケール感を支えました。
しかし、観客が指摘した「老けメイクの違和感」や、木村拓哉さんの演技の「振れ幅の物足りなさ」といった欠点は、二人の強い化学反応をもってしても完全に払拭されたとは言い難い状況でした。
結果として、この映画の「ロマンス」というテーマは強く伝わったものの、歴史大作としての緻密さや重厚さを期待した層には、物足りなさを残す結果となりました。
VODオタク taoの本音
VODで過去の名作から最新作までを深く掘り下げて視聴する私、taoの目線から見ると、本作『レジェンド&バタフライ』は、表面的な「大コケ」「ひどい」という評判の裏に隠された、大友啓史監督と古沢良太脚本の「意地」と「妙味」を感じる作品でした。
史実から解き離れた解釈の妙味
本作は、史実という名の「神棚」に祭り上げられてきた織田信長像を、徹底的に人間の弱さのレベルに引き下ろす試みでした。
古沢良太氏が意図した「ロマンチック・コメディ」のタッチは、戦国の世を生きる男女の普遍的な愛の物語を語るための「戦略」です。
史実が断片的な濃姫(帰蝶)を、天下布武の「夢」を抱く主体的な存在として描くことで、信長の生涯のイベント(桶狭間の戦い、比叡山焼き討ちなど)が、彼女との関係性の「結果」として再構築されています。
この解釈は、歴史のパズルのピースを大胆に組み替え、愛という感情を戦国の「大義名分」に昇華させるという、フィクションならではの「妙味」に満ちています。
信長と濃姫の関係性の変化の意外性
織田信長と濃姫の関係性の変化の描写は、従来の時代劇の常套句(「愛を知らない男が女と出会って愛を知る」)を意図的に反転させています。
物語の当初、愛や結婚の感情を理解していなかった濃姫が、苦難を共にする中で織田信長を愛していることに気づき、逆に信長が「魔王」へと変貌していく過程で、愛するがゆえに彼女が離縁を申し出るという展開は、非常に意外性に富んでいます。
また、木村拓哉さん演じる織田信長の「弱さ」が、濃姫の献身的な愛情を引き出したという構図も、現代的な夫婦の「持ちつ持たれつ」の関係性を戦国時代に投影した点で、観客の心に強く響く要素でした。
一見残酷な展開に見る真実
戦国時代の残虐な真実を、大友啓史監督はスペクタクルではなく「死屍累々たる有様」という詩的な描写で提示しました。
特に、織田信長が天下統一の過程で負う「孤独」と、唯一心を開ける濃姫の「限界」を描いた中盤の展開は、一見残酷に見えますが、それは権力者の人間としての「真実」を垣間見せています。
そして迎える本能寺の変の結末は、歴史の冷酷な運命に翻弄された二人が、最期の瞬間に「同じ夢」を見て、愛を完成させるという一見メロドラマ的でありながら、監督が「これ以上ないハッピーエンディング」と断言する崇高なものです。
この映画は、歴史的事実の「正しさ」を追究する作品ではありません。
むしろ、歴史という名の巨大な舞台装置を背景に、愛という普遍的な感情が、いかに時代と個人の運命を突き動かしたのかを描く、挑戦的な「映像詩」として評価されるべきだと考えます。
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映画『レジェンド&バタフライ』に関するFAQ
- Q1: この映画のタイトルの「レジェンド」と「バタフライ」が意味する人物は誰ですか。
- A1: 「レジェンド」は織田信長、「バタフライ」は濃姫(帰蝶)を意味しています。
- Q2: 映画の監督は誰ですか。
- A2: 『龍馬伝』や『るろうに剣心』シリーズで知られる大友啓史が務めています。
- Q3: 脚本家は誰ですか。
- A3: 『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『コンフィデンスマンJP』シリーズを手がけた古沢良太が、本作のために完全オリジナル脚本を書き下ろしました。
- Q4: 映画の音楽(劇伴)を担当したのは誰ですか。
- A4: 『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した佐藤直紀さんです。
- Q5: 佐藤直紀さんと大友啓史監督は過去にタッグを組んでいますか。
- A5: 『るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning』以来のタッグであり、その点も注目されています。
- Q6: 映画に特定のアーティストが歌う主題歌はありますか。
- A6: いいえ、本作には特定のアーティストが歌う主題歌は採用されていません。テーマ曲(テーマソング)はあるという形です。
- Q7: 映画のロケ地にはどのような場所が使用されましたか。
- A7: 全国30カ所以上の国宝や重要文化財で撮影されました。兵庫県では篠山城跡や朝光寺、明石城、杉ヶ沢高原などでロケが行われました。
- Q8: DVD/Blu-rayはいつ発売されましたか。
- A8: 2023年11月1日に、豪華版と通常版が発売されました。
- Q9: DVDの豪華版にはどのような特典が収録されていますか。
- A9: 特典としてメイキング映像、イベント映像集、そして木村拓哉さん、綾瀬はるかさん、大友啓史監督によるビジュアルコメンタリーなどが収録されています。
- Q10: ノベライズ(小説)はありますか。
- A10: 映画脚本:古沢良太、ノベライズ:矢野隆による小説が2022年12月22日に角川文庫より発売されています。
- Q11: この映画の織田信長は、何歳から何歳までを演じていますか。
- A11: 16歳から49歳までを演じきっています。
まとめ
東映70周年記念作品として総製作費20億円を投じ、木村拓哉さんと綾瀬はるかさんの豪華共演で実現した『レジェンド&バタフライ』は、公開後に「大コケ」「ひどい」といった否定的な評判が一部で広まりましたが、その実態は「歴史大作」の体裁を借りた「壮大なラブストーリー」でした。
本作は、織田信長と濃姫の30年の軌跡を、濃姫目線で再解釈するという、大友啓史監督と古沢良太脚本の挑戦的な試みです。
織田信長を従来の「魔王」ではなく、「弱さ」を抱え、濃姫に依存する一人の人間に描き直したことで、観客の評価は「新解釈に感動した絶賛派」と「史実からの逸脱に失望した酷評派」に大きく二分されました。
酷評の背景には、総製作費20億円という期待値に対する興行収入24.7億円という数字や、歴史的事実への大胆な解釈、そして主演二人の「老けメイク」の不足といった演出上の違和感が影響しています。
特に、木村拓哉さんの織田信長が「いつものキムタク」に感じられたという声は、新解釈の意図が十分に伝わりきらなかった側面を示しています。
一方で、綾瀬はるかさんの濃姫は、主体的な魅力と演技力で高い評価を得ており、幻想的な本能寺の変の結末は、激動の世を駆け抜けた夫婦の「愛の完成」として、深く心に染み渡った観客も少なくありませんでした。
結論として、この映画は、観客が何を期待するかによって評価が大きく変わる「賛否両論の傑作」といえます。歴史の正確さよりも、戦国という特殊な環境下で育まれた究極のラブストーリーを求める方にとっては、観る価値のある作品です。
- 『レジェンド&バタフライ』の興行収入は総製作費20億円に対して24.7億円で、評価が割れた背景には期待値の高さがあった。
- 脚本の古沢良太は史実を大胆に解釈し、織田信長の弱さと濃姫の主体性を描いた。
- 綾瀬はるか(濃姫役)の演技は絶賛されたが、木村拓哉(信長役)には従来のイメージとの対比で賛否両論があった。
- 幻想的な本能寺の変のラストは、愛の物語としての本作の独自性を象徴している。
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